伏流式人工湿地ろ過システムとは?

水質浄化用の人工湿地には、表面流式、伏流式の2タイプがあります。表面流式は、田んぼのような湛水した浅い池を使った浄化方式です。伏流式は砂利や砂の層を通して汚水をろ過する方式で、表面流式に比べると、冬季も浄化機能が持続する特長があります。伏流式の人工湿地は1970年代以降にヨーロッパで実用化が進み、主に生活排水の処理向けに世界中に普及が進んでいます。 伏流式人工湿地には、鉛直方向にろ過する好気的 (酸化的) な鉛直流と、浅い地下水として水平方法にろ過する嫌気的 (還元的) な水平流があります。鉛直流と水平流を組み合わせたものをハイブリッド伏流式人工湿地システムといい、窒素を浄化する能力が優れています。

人工湿地ろ過システムの水質浄化のメカニズムは?

人工湿地ろ過システムによる水質浄化は、物理的なろ過、化学的な吸着、生物的な分解の組み合わせで進みます。冬には物理化学的なろ過や吸着により、有機物はシステムに蓄積します。夏にはろ過作用に加えて、生物的な働きが活発になって有機物が分解されます。ヨシなど植物やシマミミズなどの小動物の主な役割は、有機物によるろ床表層の目詰まりの防止であり、浄化機能維持のために植物を刈り取る必要はありません。

運転のために必要なメンテナンスは?

  • ろ床表層の堆積物による目詰まりを軽減するため、積雪のない季節(=植物の生育期間)には、定期的に状況を見ながら、散水するろ床の切り替えが必要(1週間に1回程度)。
  • 経年的に表層に蓄積した有機物を、必要に応じてバックホーなどにより、機械的に除去する必要がある(数年~10数年に1回程度)。

利用上の注意点は?

投入する汚水の濃度が高い、あるいは、汚水の投入量が多い場合には、処理水質が目標としている水質よりも悪化する可能性がありますので、汚濁負荷を減らしたり、人工湿地の段数を増やすなど、適切な対策を講じる必要があります。